医学の温泉

放射線の種類・透過力の比較

 

昭和54年度版 リハビリテーションとラドン療法「医学の温泉」より

ラドン温泉とは

ラドン発生装置により浴槽内へ安全な一定の濃度に保たれたラドンガスを送り、ラドン浴室内にて吸入あるいは、温浴中に肌より吸収するシステム、低濃度のラドン浴のことであります。

ラドンとは

•ラドンとはいかなるものか

 ラドンとはラジウム【天然】元素より放出される、ほとんど化合物をつくらない安定希活性の気体であります。

•ラドンの人体におよぼす特性

 ラドンは自然界に存在する物質中で、もっとも強力なイオン化作用〈物質につきあたるとその物質にイオンを与える作用、別名電離作用〉を有するものであります。ラドンの適当量が温浴中に人体の呼吸により肺り直接血液中に、また皮膚を通して組織内に吸収されると、その強力なイオン化作用が人体の血液および組織内に働いて血液内の老廃物質、すなわち血液を悪くしたり血管を早く老化させる中性脂肪、コレステロール、過剰な糖分等の生理的代謝作用が促進されるため、血液が浄化されると同時に組織内に停滞している凝りや、痛みの原因となっている老廃物の化学反応が促進されて、すみやかに消退してゆくとともに、血液や組織内に熱エネルギーが発生しますので体温上昇の生理調整が行なわれる結果として、入浴開始後十分位で急激な発汗作用が起こり、快い温感を覚えます。

•ラドンの特性2

 人体の神経組織に対し、特殊な鎮静作用を有することであります。当研究所はこの特性に注目して、過去十五年間、自律神経のバランスを検査する良導絡測定を利用し、入浴後の臨床検査を多数の入浴者について行ないました結果、たった一回の入浴によって驚くほどの神経調整が行なわれる事実を発見しました。ラドンが人体の自律神経系に対し、そのイオン化作用により神経系の電子配列に変化をおよぼす特殊作用のため、人体の神経系疾病の中でつぎの疾病にとくに提案します。すなわち、

facilities-img01

・自律神経失調症
・更年期障害
・めまいや耳なりを伴うメニエル氏病
・冷え症
・神経系頻尿症
・腹部腸管癒着症
・気管支性喘息
・頭部外傷性神経症
・精神身体疲労
・多発性神経繊維膣

•ラドン温泉はなぜに早く顕著か

 長年の研究により、ラドンの温浴吸入によって皮膚または呼吸より体内に進入することが実証されました。その結果、自律神経を整調、収縮した血管の拡張、気管支や腸などの平髄蔵器のけいれん緩解、あるいはぜん動促進、ホルモンの亢進、消炎、抗アレルキーといったさまさまな動きがあらわれてくるしくみが究明されたのです。。


ラドン治療のソ連と日本の現況

●ソ連では国家機関によって数十年にわたって研究と実験が行なわれ、現在二百ヶ所のラドン研究所から高濃度のラドンを各地域に配布し、ラドン泉は千五百以上造られていることが報告されています。本邦においては十五年間当研究所本部において開発を進め、貴重な臨床実験から特定の地にラドンセンターを設置しました。病魔に侵され苦悩している人々を救済したいと
いう高過な理念で、定められた地域において開発完成。その効果の高いことば大変なものであります。まして、治療を受けた方々で快復または快方に向った方は十数万人に達しております。

•ラジウム医学の進歩

 ラジウムの神秘で不思議な性質をもち、いかに貴重薬かについては概略のべた通りでありますが、今までのラジウム療法はその大量を開いて組織破壊性を利用して、癌、肉腫などの最難疾患にのみに行なわれ、ごく少数の大病院の奥深く金庫内に厳重に保存され、わずかに特殊な富豪階級にまれに利用されていたので、一般大衆はラジウムの恩恵にあずかることができなかったのです。しかしながらラジウムの医学的研究の進歩発達は誠にめざましいもので、欧米の治療界の近頃の傾向は通常のラジウムの緩放射療法が盛んに提唱されております。医学者の臨床実験によって適応疾患の範囲も拡大され、ほとんど各科にわたって良い治療成績をあげております。
世界的著名専門大家による放射療法の臨床実験類別
○結核性諸疾患ーケイド博士、ノイセル博士、トマネック博士など。
○気管支炎、肺病、喘息ーストラーセル博士、ブリング博士など。
○胃腸病諸症ーチンメル博士、ゴッリーブ博士など。
○神経癌諸症ーフェルステンベルグ博士、へルナウ博士など。
○リューマチ関節炎ーコールラウシュ博士、ストラスセ博士、キュセラ博士など。
○神経麻痺、知覚異常ーボンギォパニー博士、ノイマン博士など。
○脳神経衰弱、習慣性頭痛、偏頭痛などーフェルステンベルグ博士.ゾンメル博士など。
○動脈硬化症、血圧亢進および血管諸症ービクデレー博士、ステルン博士など。
○脊髄労および骨膜炎ーストラーセル博士、チンノル博士など。
○質血、慢性的血液疾患、衰弱、淋巴管および淋巴液の疾患ーキュセラ博士、エーレ博士、ホッホジンゲル博士など。
○膀胱炎、摂護腺炎などーエルツビショッフ博士、ハウブト博士など。
○心臓病ーケメン博士、ゾンメル博士など。
○脚腺、甲状腺、扁桃腺の肥大および腫腸などーホルツクネヒト博士、ホルラード博士など。
○耳鼻、咽喉の疾患ークラウス博士,ウィリアム博士、フロイデンタール博士など。
○皮膚病および粘膜の侵食性潰瘍ーアポランド博士、ゴルトベック博士など。
○肛門病ーウィックハイム博士、デクレー博士など。
○眼疾-アーダリール博士,ハンケ博士など。

•ラドン温泉の医学的効果

 放射能泉とは(他の温泉成分の如何にかかわらず)放射性の元素がその決定的な医療効果を示すもので、A’ーラジウム系では水1立中(源泉において)ラジウムの量1億分の1㎎(10ー8㎎)以上を含有するもの。Bートリューム系では水1立中(源泉において)ラドンあるいはトロンの量100億分のーキュリー(10-10キュリー)単位において20(約5.5マッへ)以上を含有するもの。上記の二者が放射能泉といいます。従来放射能泉といえばA’ーラジウム系の放射能泉を意味していましたが、最近専門の研究学者により温泉効果の主体(主因)が、ラドンおよびトロンにあることが究明されるにおよび、わが国の放射能泉のほとんどがBートリューム系に属し、A’ーラジウム系よりはるかに優れていることが確認されたため、急速に放射能泉の利用が現代物理療法科に重要な役割をはたし、脚光を浴びるにいたったものであります。すなわち、放射能の医療効果をあらわす因子であるラドンおよびトロンのこれらの元素群はα線を出して崩壊し、ともに化合物をほとんど作らない安定した元素で入浴または飲用して、容易に皮膚および粘膜から吸収され、腎臓、肝臓等の類脂休に富む各種臓機器官や神経系の組織に作用し、生体の酸化還元機械に親和して自然治療現象を促進せしめるので、病変化あるいは老衰化による各種疾病に対して原因療法が得られるのであります。これらの医療目的に供せられるラドンおよびトロンは、ラジウムと異なり、常温ではガス体で体内に吸収された元素は数時間内にして、呼吸器を通じてタン酸ガスとともに休外に排泄されきわめて少量が体内に残存しますが、これらの元素はいずれも半減期が短かく、(ラドンは3.8日トロンは55秒)なんら生体に対して有害となりません。


昭和54年版原文


小泉元胤


元 社団法人慈恵会(病院)会長
ラドンの創始者
ラドン開発事業団理事長
小泉元胤

放射線療法事例

神経性疾患
◇神経痛
◇脊椎カリエス◇脊髄炎◇小児麻痺
◇夜尿症
◇神経衰弱◇不眠症◇ヒステリー
◇肩の凝り

運動器疾患
◇筋肉リューマチ◇関節炎◇淋毒性関節炎
◇痛風◇腰痛

泌尿器疾患
◇腎臓炎
◇腎盂炎
◇摂護線炎◇副睾丸炎
◇子宮内膜炎◇冷え性◇婦人病
◇精力の減退◇生殖器障害
◇糖尿病

循環器疾患
◇高血圧◇動脈硬化症◇脳溢血◇半身不随(中風)
◇心臓衰弱症◇慢性心筋炎◇心臓弁膜症
◇偏頭痛

消化器疾患
◇歯槽膿漏
◇胃拡張◇胃弛緩症◇胃下垂症
◇胃癪撃
◇慢性胃カタル
◇胃酸過多症
◇胃潰瘍
◇肝硬変症
◇腸カタル
◇虫様突起炎・盲腸炎
◇常習便秘
◇痔疾
◇結核性腹膜炎◇腸結核

呼吸器疾患
◇急性咽喉カタル
◇肺炎
◇胸膜炎
◇喘息
◇百日咳

炎症性の体表疾患・その他
◇節腫◇疼痛
◇面庁
◇外傷◇打撲傷◇捻挫
◇眼科(白内障)
◇耳鼻科(耳下腺炎)・(中耳炎)・(頸腺炎)
◇皮膚科(頑固な皮膚病)

元 東京大学付属病院長
元 埼玉医大付属病院長
元 中央温泉研究所理事長
物理療法No1 温泉の効果に関する研究
大島 良雄

元 九州大学医学部名誉教授
元 日本心身医学会名誉理事長
心身医学、心療内科の基礎
池見酉次郎

ラドン療法事例
◇甲状腺疾患◇糖尿病
◇自律神経失調症◇しんせん
◇肋間神経痛◇三叉神経痛
◇頸腕神経痛◇座骨神経痛
◇メニエル病◇高血圧症
◇脳血管疾患
◇結核◇気管支炎◇喘息◇胃腸疾患
◇肝疾患◇胆嚢疾患◇帯状疱疹後遺症
◇湿疹◇じんま疹◇サメ肌
◇関節リュウマチ◇関節
◇椎間板ヘルニア◇脊髄性有痛諸侯群
◇腰痛(含農夫症)◇急性腰痛症
◇むちうち諸侯群◇夜尿症
◇変形性関節炎◇骨折後後遺症
◇冷え性◇打撲捻挫

ラドン温泉入浴方法

浴槽の温度は38度程度、入泉後多少の個人差はあるが、3分~5分にて発汗がはじまる。
次第に汗がしたたり落ちるといった'''強い発汗状態'''になる。10分程度が適当。2時間程度経過後2回目の入泉を行い、これを反復する。
1日3回が適当だが5回でも悪い影響は無い。但し2回目の入泉からは、ある程度の疲労感を自覚する人が多い。

ラドンを含む他温泉

※放射能泉は古来よりラジウム温泉と呼ばれ温泉中にラドン(Rn222)を含むが一定では無い。浴槽では殆どラドン元素は無くなり、非常に鮮度が大切な温泉。

※トロン温泉、ラドンと同じ同位元素トロンを浴水中に溶かしている。ラドンとの違いは放射性半減期、半減期が非常に短時間の為、気体では無く液体として浴室へ送る。

大切なこと

ラドン温泉とは、
【ラドン発生装置により浴槽内へ安全な一定の濃度に保たれたラドンガスを送り、ラドン浴室内にて吸入あるいは、温浴中に肌より吸収するシステム】をいう。ラドン温泉とは泉質名ではなくラドン発生装置の商品名。

『ラドン療法説明に【ラジウム温泉、ラドン発生装置による低濃度のラドン浴(天然ラジウム温泉の数百分の一~数十分の一の濃度)』とある。

温浴中における放射線の影響を最小限に抑え、より効果を引き出すことを目的とする。

もっと簡単に言えば【ラジウム温泉に毎日入浴しても害が無いように濃度をうすく、アルファ線のみ抽出して、しかも効果を最大限引き出せる温泉】であろう。

天然放射能泉と大きく違う点は、入浴時間、放射線の違いによる被ばく量があげられる。また、ラドン温泉はアルファ線に対して、天然温泉はベーター線・ガンマー線をも含むので、アルファ線によるイオン化作用が大幅に違うのである。
(浴槽中・浴槽空気中のRn222測定量は増富温泉もラドン温泉もほぼ同じであった)