『ラドン泉』それでも正しい泉質名では無い
正しい温泉泉質表記を説明します。
温泉の定義には・・・温泉源泉中にRn(あーるえぬ)やRa(アールエー)を一定量以上含んだ温泉のこととされています。さらに療養泉である11番目の泉質『放射能泉』では・・・温泉源泉中にRn(あーるえぬ)を一定量以上含んだ温泉のことをいうのですが、法律上の正しい表記は下記の通りです。
掲示用泉質名 放射能泉 (温泉の泉質を表示するに規定されている表示名)
新泉質名・・単純弱放射能泉
単純放射能泉
含弱放射能-(塩化物)-(炭酸水素)泉
含放射能-(塩化物)-(炭酸水素)泉 と表示されます。
また簡単に表記する方法もあり、略記泉質名といい、元素記号+泉を用います。
元素記号の呼び方も英字の棒読みが本来正しいのですが、元素記号を元素名に変えて表示する場合もあります。
それが上記記載の「新泉質名」です。
元素が一種類の場合は日本語読みに直しても判るのですが下記に放射能泉の略記を記載します。
略記泉質名・・単純弱Rn泉(たんじゅんじゃくあーるえぬせん)
単純Rn泉(たんじゅんあーるえぬせん)
含弱Rn-(Na-Cl)-(NaHCO3)泉(がんじゃくあーるえぬ-えぬえいしーえる・・せん)
含Rn-(Na-Cl)-(NaHCO3)泉(がんあーるえぬ-えぬえいしーえる・・せん)
略記泉質名である元素記号表記を日本語読みの場合は、新泉質名と同等です。
放射能泉のみに限り【Rn=ラドン】では無く、【放射能】と読み替えます。
※何故なら浴槽においてはRn(Rn220 Rn222)は放射性気体元素のため別元素へ崩壊し存在しなくなり、Rn泉とは表示出来ない理由もあるのだろう。
Rnとはウラン系Rn222(ラドン)も僅かに含みますが、トリウム系Rn220(トロン)が殆どです。
ラドン泉、トロン泉の総称ですが、日本においてはほぼトリウム系のラドンつまりトロンであります。
(ラドン温泉のラドンとは違います。)
同位元素とは元素中の陽子数は等しいのですが中性子数が異なるものがあり,これらを互いに同位元素、または同位体と呼びます。
Rnあーるえぬには、34種類の同位体が知られています。
最も安定な同位体は、Rn222ラドン(radon)で、ウランからの崩壊元素・半減期3.8日でアルファ崩壊します。
Rn220はトリウムの崩壊生成物で、トロン(thoron)と呼ばれて55.6秒の半減期でアルファ崩壊します。
Rn219はアクチニウムから生成し、アクチノン(actinon)と呼ばれる。3.9秒の半減期でアルファ崩壊します。
アクチニウム系列、ラジウム系列、トリウム系列に属することも知られています。
つまりRn(あーるえぬ)とは、Rn222ラドン、Rn220トロン、Rn219アクチノン等同位元素の総称であるから、Rnを放射能と読み替えるのです。
※トロン温泉は株式会社日本トロン開発協会の登録商標です。
浴槽にての泉質名
ラジウムやラドンは放射性元素であり、崩壊して別元素になることはご存じだろうか?
下記はウラン系崩壊式である
ラドンはこれら放射性元素の中でも安定した元素であることは知られている。
ラドンRn222は3.8日、トロンRn220は55秒生まれてから崩壊するまでの時間である。
崩壊したらラドン元素が無くなる訳では無い。
次のポロニウム元素に変わっていくのである。
ポロニウムは鉛に変わり、ビスマスに変わり、またポロニウム、鉛元素元素に変わって22年間βγ線を放出続ける。
最終的にご存じの「Pb216鉛」に変わるまでずっと放射性物質である。
実際ラドン濃度を源泉から浴槽まで測定した結果が下記表である。
源泉では601ベクレルある温泉が、浴槽では3.9ベクレル、さらに2日後では0.2ベクレルとラドンは皆無となっている。
その間でも鉛まで移行し続け、浴槽はラドンと同質量の「ポロニウム鉛元素」に占められているのである。
よってこの温泉浴槽での正しい泉質名は
【ポロニウム・鉛泉】
である。
事実ラドン泉でないので放射能と言い換えているのである。
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