ラドン温泉

ラドン温泉とは

【ラドン発生装置により浴槽内へ安全な一定の濃度に保たれたラドンガスを送り、ラドン浴室内にて吸入あるいは、温浴中に肌より吸収するシステム】をラドン温泉いう。[大島良雄 温泉医学[2]p126]
これと類似するラドンを含む「天然温泉」は、古来よりいわゆる【ラジウム温泉】という。泉質表示の場合、【放射能泉】である。【略記として単純弱Rn泉、単純Rn泉もあるが読みをRnを放射能と読み替える】である。

天然ラドン温泉とは

天然温泉と前述のラドン発生装置によるラドン温泉をブレンドした温泉。相乗効果が大いに期待できる。[天然温泉+ラドン温泉の合成語]
ラドン温泉とは泉質名ではなくラドン発生装置の商品名。【ラジウム温泉】の一部が【天然ラドン温泉】と称しているが商品名の混同行為である。

本物のラドン温泉は、浴槽下部より新鮮な「ラドン」の気体がブクブクと送られており、5~10分もしないうちに38~40℃の温泉なのにサウナ以上の汗だく症状となる。直ぐ本物か判別可能。偽物に医療効果は期待できない。

【ラジウム温泉】の一部、天然ラドン温泉称する温泉つまり泉質名・《弱》放射能泉においては浴槽・浴室においてラドンが規定量以上存在する施設はほぼ「0」つまり無い。ポロニウム・鉛などのラドン娘元素にて満たされている。景品表示法違反(誇大広告)の疑いがある施設が多数存在する。ラドンが存在無ければ効かない。但し《弱》放射能泉という表示では浴槽に例えラドンが存在しなくても現状では温泉法の違反とはならない。全浴槽100%源泉掛け流しの温泉・ボイラー加熱が無く・加水の無い温泉にはラドン量の減衰はあるが非常に少なく存在はする。※源泉引き込み距離が無い場合に限る。

ラドンとは

•●[ラドン](Radon)は、元素の一種(元素記号Rn、原子番号86、原子量222)。

ラドンは自然起源の無色無臭の放射性の気体で[希ガス]の中で最も重い元素である。α線をだし、半減期は3.825日。

ラドンの生理作用

① ラドンは不活性な気体、体のどの部分とも化学反応を起こさない。肺から90%、皮膚から10%の割合で体の中に入り、血流とともに全身に運ばれる。
② ラドンは油によく溶ける脂溶性をもっている、内分泌腺や神経線維になど脂肪が多い組織に集まりやすい性質がある(局所麻酔薬なども脂肪との親和性をよくして神経線維に浸透しやすくする)。
③ 半減期3・8日なので、体に入ってもすぐに出てしまう。体に取り入れたラドンの50%は30分で消え、2時間でほとんどが排泄。しかしこの短い間に全身を回り、細胞に刺激を与える。
④ ラドンはアルファ(α)線を放射。α線とはヘリウムの原子核で、γ線、β線と比べて非常に強いエネルギーを持っている。浸透力は紙も通さないほど低いが、細胞に直接大きなエネルギーを放射して強い刺激を与える。したがって組織や細胞の強い生体反応が期待できる。(イオン化作用が強い)[医師がすすめる低放射線ホルミシス : 驚異のラドン浴療法 p83]

歴史

●===誕生===

ラドンの特性にいち早く注目したのはロシアである。アルファ線療法という。[日本ドクターズクラブ著 医学の温泉驚異のラドン療法 p26]
1926年(昭和元年)モスクワ中央研究所設立。
国営の研究機関200ヶ所、高濃度のラドンを1500以上のラドン泉へ配分。
1946年(昭和21年)オーストリアのガスタイン、坑道にてトンネル療法を発見。(現在の日本におけるラドン温泉・ラドン吸入室の基礎)
1931年(昭和6年)九州大学の温泉治療学研究所、温泉治療の研究が行われてきた。
1939年(昭和14年)三朝温泉ではラジウムの効能に目を付けて岡山医科大学が三朝温泉療養所を設置して、温泉治療の研究を行ってきた。ラジウム温泉の正体はラドン。
1960年(昭和35年)ラドン泉療法がロシアで確立。治療結果に至っては日本と同様。
同年、日本で最初のラドン発生装置システムを兵庫県淡路島・今津三郎医学博士が完成し患者の治療にあたった。3月、小泉氏今津博士とともに日本ラジウム医療研究所を設立。
1972年(昭和47年)「ラドン温泉」普及目的とした(会長に鈴木善幸(当時厚相、前首相))ラドン開発事業団が発足。日本にはじめて大規模なラドン温泉センター誕生「大船ラドン温泉」
1977年(昭和52年)10月 さらに高性能装置開発。
52年当初、ラドン温泉利用者は200万人を超え、大がかりなラドンセンターラドン温泉は全国に30ヶ所(事業団所属センター数)以上。また同種の団体が設立され国内にラドン温泉センターを競争で建設。
1978年(昭和53年)5月 ラドン開発事業団による「ラドン温泉」商標申請、特許申請登録。

●===最盛期===

1981年(昭和56年)天然温泉のうち放射能を含む温泉は日本では「ラジウム温泉」と呼称。(「鉱泉分析法」ではラドンを含む温泉は「放射能泉」と表記する。)
昭和50年代後半 医療施設、ホテル旅館・ヘルスセンターから銭湯までラドン温泉は導入され全国に数えられないほど成長した。ラドン温泉利用者1000万人を超えた。
ラドン温泉ブームにより偽ラドン温泉・疑わしい家庭用ラドン(トロン)発生器 の増加が顕著となった。
1985年~ 昭和60年代 健康センターが誕生、ラドンブームより健康センターブームへ移行。

===衰退期===

1990年~ 平成になるとふるさと創生事業における、各市町村温泉掘削により多数の温泉施設乱立・価格破壊へ。公営企業の民業圧迫にて零細企業から閉店へと向かう。


ラドン療法のメカニズム

ラドン療法とは【ラジウム温泉やラドン温泉(ラドン発生装置)による低濃度のラドン浴[大島良雄著 温泉医学[2]p126](天然ラジウム泉の数百分の一~数十分の一の濃度)への入浴によるラドンの吸入や温熱作用、湿度、水圧(浮力)などの相乗作用による自然物理療法の一つ。】ラジウム温泉・ラドン温泉に入浴、あるいは、吸入することなどによって体調を調え、傷、疾病などの軽快を目的とした療法。

温泉療法には大きく分けて、3つのメカニズムがある。

===特有の入浴方法===

浴槽の温度は38度程度、入泉後多少の個人差はあるが、3分~5分にて発汗がはじまる。次第に汗がしたたり落ちるといった”’強い発汗状態”’になる。5~10分程度が適。2時間程度経過後2回目の入泉を行い、これを反復する。1日3回が適当だが5回でも悪い影響は無い。但し2回目の入泉からは、ある程度の疲労感を自覚する人が多い。[日本ドクターズクラブ著 医学の温泉驚異のラドン療法 p32]

===物理的作用===

物理的作用とは、人が温泉に浸かることによって温泉に対する水圧、浮力、温熱などが体に作用。

===自律神経の正常化作用===

自律神経の正常化作用とは、人を鎮静させる副交感神経に強く作用。

===化学的作用===

化学的作用とは、ラドン温泉に入浴しラドンの適当量が温浴中に人体の呼吸により肺り直接血液中に、また皮膚を通して組織内に吸収されると、その強力なイオン化作用が人体の血液および組織内に働いて血液内の老廃物質、すなわち血液を悪くしたり血管を早く老化させる中性脂肪、コレステロール、過剰な糖分等の生理的代謝作用が促進されるため、血液が浄化されると同時に組織内に停滞している凝りや、痛みの原因となっている老廃物の化学反応が促進されて、すみやかに消退してゆくとともに、血液や組織内に熱エネルギーが発生しますので体温上昇の生理調整が行なわれる結果として、入浴開始後十分位で急激な発汗作用が起こり快い温感を覚える。その結果、自律神経を整調、収縮した血管の拡張、気管支や腸などの平髄蔵器のけいれん緩解、あるいはぜん動促進、ホルモンの亢進、消炎、抗アレルキーといったさまさまな動きが「トンネル療法」により究明された。ラドンは自然界に存在する物質中で、もっとも強力なイオン化作用〈物質につきあたるとその物質にイオンを与える作用、別名電離作用〉を有する。[日本ドクターズクラブ著 医学の温泉驚異のラドン療法 p48]

• ==ラドン療法の結果==

もっとも強力なイオン化作用これによって医学的に作用し、効果を得られることを効能と呼ぶ、当時はこの効能が盛んに喧伝され口コミで利用者が爆発的に広がっていった。一部の書籍、アンケートによると有効率90%を超えるとされている。[日本ドクターズクラブ著 医学の温泉驚異のラドン療法 p33]


小泉元胤


元 社団法人慈恵会(病院)会長
ラドンの創始者
ラドン開発事業団理事長
小泉元胤

放射線療法事例

神経性疾患
◇神経痛
◇脊椎カリエス◇脊髄炎◇小児麻痺
◇夜尿症
◇神経衰弱◇不眠症◇ヒステリー
◇肩の凝り

運動器疾患
◇筋肉リューマチ◇関節炎◇淋毒性関節炎
◇痛風◇腰痛

泌尿器疾患
◇腎臓炎
◇腎盂炎
◇摂護線炎◇副睾丸炎
◇子宮内膜炎◇冷え性◇婦人病
◇精力の減退◇生殖器障害
◇糖尿病

循環器疾患
◇高血圧◇動脈硬化症◇脳溢血◇半身不随(中風)
◇心臓衰弱症◇慢性心筋炎◇心臓弁膜症
◇偏頭痛

消化器疾患
◇歯槽膿漏
◇胃拡張◇胃弛緩症◇胃下垂症
◇胃癪撃
◇慢性胃カタル
◇胃酸過多症
◇胃潰瘍
◇肝硬変症
◇腸カタル
◇虫様突起炎・盲腸炎
◇常習便秘
◇痔疾
◇結核性腹膜炎◇腸結核

呼吸器疾患
◇急性咽喉カタル
◇肺炎
◇胸膜炎
◇喘息
◇百日咳

炎症性の体表疾患・その他
◇節腫◇疼痛
◇面庁
◇外傷◇打撲傷◇捻挫
◇眼科(白内障)
◇耳鼻科(耳下腺炎)・(中耳炎)・(頸腺炎)
◇皮膚科(頑固な皮膚病)

元 東京大学付属病院長
元 埼玉医大付属病院長
元 中央温泉研究所理事長
物理療法No1 温泉の効果に関する研究
大島 良雄

元 九州大学医学部名誉教授
元 日本心身医学会名誉理事長
心身医学、心療内科の基礎
池見酉次郎

ラドン療法事例
◇甲状腺疾患◇糖尿病
◇自律神経失調症◇しんせん
◇肋間神経痛◇三叉神経痛
◇頸腕神経痛◇座骨神経痛
◇メニエル病◇高血圧症
◇脳血管疾患
◇結核◇気管支炎◇喘息◇胃腸疾患
◇肝疾患◇胆嚢疾患◇帯状疱疹後遺症
◇湿疹◇じんま疹◇サメ肌
◇関節リュウマチ◇関節
◇椎間板ヘルニア◇脊髄性有痛諸侯群
◇腰痛(含農夫症)◇急性腰痛症
◇むちうち諸侯群◇夜尿症
◇変形性関節炎◇骨折後後遺症
◇冷え性◇打撲捻挫

ラドン温泉入浴方法

浴槽の温度は38度程度、入泉後多少の個人差はあるが、3分~5分にて発汗がはじまる。
次第に汗がしたたり落ちるといった'''強い発汗状態'''になる。10分程度が適当。2時間程度経過後2回目の入泉を行い、これを反復する。
1日3回が適当だが5回でも悪い影響は無い。但し2回目の入泉からは、ある程度の疲労感を自覚する人が多い。

ラドンを含む他温泉

※放射能泉は古来よりラジウム温泉と呼ばれ温泉中にラドン(Rn222)を含むが一定では無い。浴槽では殆どラドン元素は無くなり、非常に鮮度が大切な温泉。

※トロン温泉、ラドンと同じ同位元素トロンを浴水中に溶かしている。ラドンとの違いは放射性半減期、半減期が非常に短時間の為、気体では無く液体として浴室へ送る。

大切なこと

ラドン温泉とは、
【ラドン発生装置により浴槽内へ安全な一定の濃度に保たれたラドンガスを送り、ラドン浴室内にて吸入あるいは、温浴中に肌より吸収するシステム】をいう。ラドン温泉とは泉質名ではなくラドン発生装置の商品名。

『ラドン療法説明に【ラジウム温泉、ラドン発生装置による低濃度のラドン浴(天然ラジウム温泉の数百分の一~数十分の一の濃度)』とある。

温浴中における放射線の影響を最小限に抑え、より効果を引き出すことを目的とする。

もっと簡単に言えば【ラジウム温泉に毎日入浴しても害が無いように濃度をうすく、アルファ線のみ抽出して、しかも効果を最大限引き出せる温泉】であろう。

天然放射能泉と大きく違う点は、入浴時間、放射線の違いによる被ばく量があげられる。また、ラドン温泉はアルファ線に対して、天然温泉はベーター線・ガンマー線をも含むので、アルファ線によるイオン化作用が大幅に違うのである。
(浴槽中・浴槽空気中のRn222測定量は増富温泉もラドン温泉もほぼ同じであった)